わたりがらすについて

季節の移り変わりと、わたしたちの体をつかさどる代謝は、いつでも寄り添っています。料理を通じて、日本の四季をお伝えしたい。愛情をかけて育った野菜、生き生きとした元気な食べ物を食べることこそが毎日の底力となり、生活にしなやかさを与えるものだと、キッチン わたりがらすは考えています。わたりがらすは作り手からみなさまの元へ、まごころをリレーする渡り鳥でありたい。そう願って、毎日コトコト、お鍋を火にかけ、みんなで和気あいあいと料理をしています。みなさまにお会いできることを楽しみにしております。

村上 秀貴

村上 秀貴 hideki murakami

料理家・キッチンわたりがらす主宰。
建築学科卒業後、世界20カ国への旅に出る。帰国後、東京の瓦版と称し、浮世離れした遊びから日本人の美意識を探ろうとインタビューして回った雑誌『雷神』を創刊。趣味で続けていた料理が見初められ、茅場町にあるレストランでシェフに抜擢される。2009年出張料理人としてケータリングを主としたキッチンわたりがらすを南麻布の高架下で始める。毎月、素晴らしい食材探して、生産している人達を訪ねる旅を続けている。2012年には恵比寿にて店舗を移し、活動中。

[わたりがらすのこだわり素材]

わたりがらすのお料理は、パワーのある、料理している方まで元気になるような美しい素材に支えられています。それらは、オーナーシェフである村上秀貴が、さまざまな場所を訪れ生産者に出会い、感動した調味料や素材です。料理を通してわたりがらすが伝えたい物語の一部が、少しでもみなさまにお届け出来たら嬉しく思います。

■粟国の塩■粟国の塩
辰己好子さんが使っているということもあり以前から気になっていたこのお塩。島々の祭典に村上が参加した際に、私利私欲を削ぎ落したような顔の作り手に出会ったことも決め手。その昔、粗悪な塩が出回ったような時代に、学者たちとチームを組んで、20年程の研究期間を経て完成させた究極の塩梅。とんでもなく本気で作られたこの塩が、美味しくない訳がないのです。
http://www.okinawa-mineral.com/
■喜界島の砂糖■喜界島の砂糖
色々ある砂糖、何を使うか迷いました。てん菜糖、和三盆、上白糖? てん菜糖は少し野菜由来の青っぽさがあり、黒砂糖も味が強すぎるので、なかなか料理に合わせ辛い……。そんなときに、一番好きな味だなと思えたのが、漂白はせず、ミネラル分を残し、適度に雑味を抜いた喜界島の赤粗目でした。アクの抜き加減が好みだったです。砂糖にもテロワールがあるとしたら、喜界島で作られたのは、とても自分に合っているんでしょうね。
■森さんの羅臼昆布■森さんの羅臼昆布
きっかけは、北海道出身の友人の友人が嫁いだ先の昆布を送ってもらったら、全く海臭さが無くて旨味に溢れたものだったこと。それを手掛けていたのが、今やなかなかお目にかかることのない、「天然」の昆布のみをとる、森光芳さん。とにかく自分に厳しくてこだわりが強い人だから、岩間から生えているような昆布は、ミネラルを吸上げていて旨味が多いこと、澄んだ川が流れ込んでくる海でとること、お盆を過ぎたら生臭くなるのでとらないことなど、30分くらい電話で話続けるほど本気なのです。旨味が強い昆布なので、ミネストローネなどの味の濃い洋食に大活躍です。
■永尾さんの原木椎茸■永尾さんの原木椎茸
対馬の料理イベントのため、食材探しで訪れた対馬。対馬の方々にアテンドしてもらい出会ったのが、こだわりの原木椎茸をつくる永尾さん。対馬は椎茸で有名ですが、なんとここでは、成長に時間がかかる冬しか栽培しません。椎茸は、食べごろになるまでの養分を吸い取る時間が長いほど味が凝縮してうまいそう。歯ごたえがあって、特別なものを、1年のうち2、3ヶ月ほどしか売らない。すごい良い食材を作る人たちは、人徳があってお金の臭いがしないところが似ている。優しさと、こだわって生きて来た厳しさも顔に出ているんだなと、思うのです。
http://www.tsushimaya.com/index.php/cPath/128_133
■中川さんのお米■中川さんのお米
熊本で、無農薬のお米を40〜50年作り続けている中川さん。彼は、お米に「よく育ってね」、とか「いつもありがとう」とか言いながら、友達みたいに扱っています。そうやってできたお米、そりゃあ誰でも美味しいって思いますよね。お友達みたいに扱うっていうのは、無農薬以上に大事なことだと思います。例えば、自分の子どもが幼稚園で育てたサツマイモや、障がい者が作ったキュウリはなんとも言えない優しい味がする。「ほっとする味」は、そんな、食べ物を思っている時間の長さにでてくるんじゃないかとも思っているのです。わたりがらすも、できるだけ「お金もらった見返りの料理」ではなく、ただただ思いを込めた料理がだせるようにしたいなといつも思っています。ここのお米は、玄米の状態で買い、お店で私たちが「フェラーリ」と呼ぶ、真っ赤な精米機でその都度精米して炊き上げています。
■夜明けのジョニー農園の平飼い卵■夜明けのジョニー農園の平飼い卵
わたりがらすで、「談路」という700人も押しかけた伝説のイベントが開催されたのですが、そのときに紹介してもらったのが広島で平飼い卵をつくるジョニーさん。ケージに入れずに、平飼いで、そして地元で採れたお米やお野菜で育った鶏の卵です。若くて頑張っているということもあり、応援したかった。ジョニーさんのトレードマークのリーゼントも、いいね。
http://johnnyfarm.jimdo.com/
■小笠原みりん■小笠原みりん
いいみりんがないなーと思ってずっと探していました。そんなときに、ヒルサイドテラスの「日々是食卓」というイベントで、小笠原さんがゲストでいらしていて知ったのが最初。三河味醂のいろいろを伺い、また、小笠原さんのところが夫婦だけでやっている日本で一番小さな味醂屋さんだということもぐっと来ました。みりんを搾るときに、まだみりんかすが水分を含んだ状態の、6割りくらいしか搾らないというこのみりん。舐めた瞬間、これは時代を超えて、100年も200年もこの味だったんだろうなと一気に目の前に情景が浮かんでくるような、そんな味。丁寧に作られた手の味がするのに、かなりリーズナブルで驚きます。
http://www.ogasawara-mirin.jp/
■白扇酒造の料理酒■白扇酒造の料理酒
三軒茶屋にある「唐木屋」さんという、酒屋さんが日本酒の好みが自分と合うのですが、ここで、料理に合う美味しい日本酒を探していたときに出会ったのが白扇酒造のものでした。日本酒を飲むには、飲むのは酸味やすっきり感が欲しいところですが、料理にはコクと甘み、ある種のやぼったさが欲しいのです。抜群に当てはまったのが、この料理酒で、手の味もしつつ、柔らかい仕上がりがお気に入りです。
http://www.hakusenshuzou.jp/
■なたね油■なたね油
通常の飲食店で使われている油は、遺伝子組み換えの原料で搾るのがほとんどだと言われています。また、菜種などから油をとる際も、不純物を取り除く作業も薬品を使用するのが主流になっている現在。薬品等を使わない良い油は、通常の5、6倍するのが現状で、我々お弁当屋さんは、油をいっぱい使うため、とっても悩んでました。そんなときに見つけたのが、大きな規模で行っているところでは、日本で唯一、科学的精製や薬品を使わず作っている「米澤精油」。安くても、嫌だなと思いながら使うことはしたくなかったので、この油に出会ってからは、とってもご機嫌に揚げ物ができます。
http://www.yonezawaoil.com/htm/top.htm
■馬鈴薯でんぷん■馬鈴薯でんぷん
在来の豆や種などのをまもるために好きな農家さんに色んな豆を作ってもらって買い上げる、というような取り組みをしている「べにや長谷川商店」というお店があります。そこで扱っていた「未粉でん粉」(高級片栗粉)が、最高なんです。この片栗粉を使うと、唐揚げにしたときに油が汚れず、からっと揚がる。実は、これと出会うまでは油が汚れるのがいやで唐揚げをやりたくなかったので(笑)、弁当屋の救世主だと思っています。
http://beniyahasegawa.cart.fc2.com/
■鶏肉■鶏肉
五反田にある「信濃屋」さんからとっています。ここは、地元から愛される美味しいお肉屋さんで、唐揚げ弁当がうまい。間口は普通の肉屋さんですが、裏に回ると、1羽丸ごと仕入れた鶏を、数人でがんがん捌いているんです。工場で、オートマティックに捌かれた鶏は水が出てくるのですが、手で捌くとそんなこと無いんですね。いつも電話すると、いくらちゃんみたいな良い声をした人が出てくれるんですが、そんな雰囲気もとっても気に入っているところ。応援したいお店のひとつです。
http://www.torinikuya.com/
■牛肉■牛肉
藤沢にあるお肉専門店、石井ミート。私がお世話になっている伝説的なフレンチ「石丸館」の石丸さんが紹介してくれました。そこでは、牛肉を1頭買いし、その場で捌いているのでとっても新鮮。そして、品質が良いわりにはリーズナブル。1頭買いのため、さまざまな筋のような部分も出るのですが、それはお弁当にも最適。安いお弁当にも和牛が使えちゃうなんて、ニッチ過ぎて伝わらないかもしれませんが(笑)、そこには弁当屋としての喜びがあるのです。
■魚■魚
わたりがらすが以前、天現寺の高架下にお店を構えていた時代の常連さんからのご紹介。高松港の漁師さんで、高松まで2回程会いに行きました。アラブ人のような風貌をしていて(笑)、活気に満ちた男前。20代くらいの綺麗な娘さんも一緒に働いていて、パワーがあります。舌平目や天然鯛、マダコなど、その日に獲れたものをそのまま直送してくれるので、とっても新鮮なんです。
■野菜■野菜
まず、ひとつめは「農園ゆう」さん。千葉の房総半島の先にある、なんだかレトロで、ジブリに出てきそうな場所・千倉で無農薬野菜を作っています。無農薬野菜には、動物性の有機肥料を与えているところと、植物性の有機肥料を与えているところがあります。動物性野法が収量は三倍くらいに上がるのですが、動物に食べさせているえさに抗生物質が入っていることが多いので、少し気になってしまいます。ここは、植物性の肥料を使って丁寧につくっていて美味しいのだけれど、自分たちの生活がまわらないくらいの値段で売ってしまうような不器用な農家さんなので、応援したいといつも思っています。
http://www.geocities.jp/nouen_yuu_and_terakoya_biidama/
■三つ豆ファーム■三つ豆ファーム
千葉で、量をたくさん作っていて種類も豊富。値段と野菜のクオリティのバランスがとてもいいんです。若い人たちが頑張ってやっています。わたりがらすが、1000円のランチでもしっかり美味しい有機野菜が出せているのは、彼らのおかげなのです。自分たちでトイレを改装して排泄物を発酵させて肥料にしたり、窯つくって薪でピザ焼いたり。自然な生き方をする人たちです。
http://www.mitsumame-farm.com/
■トージバ■トージバ
「湯治場みたいな、人が集まるところを作りたかった」という彼ら。大豆の耕作地を増やすプロジェクトを「大豆レボリューション」と題して活動を開始し、すごくうまくいっているんです。休耕地が大豆畑にかわり、おいしい豆を育て、味噌作りまで手掛ける。地大豆を中心に作っている彼らの豆は美味しくて、わたりがらすでもよく使っています。
http://www.toziba.net/
■飲み物■飲み物
飲んでいて、良い酔い方ができるものだけを置くようにしています。そうすると、結果的にすごく小さい工場とか、家族でつくっているものに行き着くのですが。優しい手触りのあるものが好みだから、リキュールもワインも、素朴なものを選ぶ。飲んだときに、「きっとこういう人がつくってるんだろうな」って、イメージが膨らむようなものに、価値があると思うのです。